読みもの

眠れるヒント:第2回なかなか寝つけないときの睡眠のヒント②

寝る前についついやってしまっている習慣を見直したり、勝手な思い込みをやめるだけで良質な眠りにつながります。
第1回に引き続き、なかなか寝付けないときのための睡眠のヒントをお伝えします。

目次

 

意外な落とし穴! 夕食後に飲む、“ほっと一息”の緑茶。

●5~6時間続く場合もある、カフェイン効果。
「カフェインで目が冴えてしまうから」という理由で、寝る前の飲み物に気をつけている方は多くいらっしゃいます。一方で、あまり意識されていないのがカフェインの持続効果。個人差はありますが、その覚醒作用は5~6時間続く場合もあるので、就寝前だけでなく夕方以後の飲み物にも注意が必要です。また、カフェイン入りの飲み物を飲んでも、ちゃんと眠れるという人も安心はできません。眠りが浅くなっている場合もあるので、できる限り夜のカフェインは控えましょう。

●Let’sTry 夕食後・就寝前には、カフェインレスの飲み物を。
カフェインレスの飲み物には、白湯、麦茶、蕎麦茶、ハーブティーなどがあります。ハーブティーの中でおすすめなのが、リラックス効果があり眠りに良いとされるカモミール。その他、オレンジやレモンなどの柑橘系の爽やかなフレーバーや、ジンジャーなど体を温めてくれるものもあるので、季節やその日の気分にあわせて、楽しみながら使い分けてみましょう。

■飲料に含まれるカフェイン量

飲料 約1杯に含まれるカフェイン量
(1杯200mlで換算)
レギュラーコーヒー(浸出液) 約120mg
煎茶 約40mg
紅茶 約60mg
玉露 約320mg
ウーロン茶 約40mg

文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より算出
カフェイン100mgを摂取すると、通常、若年層で3~4時間、高齢層ではさらに長い間、覚醒作用が持続します。

 

ついつい点けてしまう、豆電球の罠。

●目を閉じていても、実は、光を感じている。
「夜中にトイレに行くときに便利」「真っ暗よりも安心できる」そんな理由から、寝ている間もつい点けっぱなしにしてしまう豆電球。この程度の明るさなら、目を閉じてしまえば問題ないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。実際に、真っ暗な室内と、豆電球を点けた室内で、まぶたを閉じて比べてみてください。目を閉じていても、豆電球の明かりを感じることがわかります。この明るさが、眠りのホルモンであるメラトニンの分泌を抑えて、「睡眠の質」を下げてしまうのです。

●Let’sTry睡眠を妨げない照明器具を。
たとえば、足元のみを照らすフットライトを使用したり、もしものときのために枕元に懐中電灯を常備するなど、睡眠を妨げない照明器具を活用しましょう。

●Let’sTry夜中のトイレは、懐中電灯で。
夜中、トイレに行くために点けた明かりで目が覚めてしまったことはありませんか。そんな方におすすめなのが、懐中電灯です。足元だけを照らしていけば、強い光が目に入って、眠気が吹き飛んでしまうこともありません。とはいえ、安全が第一ですから、あまり暗いようでしたら、点ける電灯の数を減らすなどの工夫で対応しましょう。

 

布団の中での読書は、寝つきに良い?悪い?

●本に没頭すると、頭が覚醒してしまう。
「眠れないときは、布団の中で本を読む」という方がいらっしゃいますが、この習慣はあまりおすすめできません。本に没頭しすぎると、頭が覚醒してうまく寝つけなくなってしまうからです。また、スマートフォンや携帯電話を布団の中で見るのも禁物です。液晶画面の明かりは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑え、睡眠の妨げとなります。

●Let’sTry布団の中は、“眠る場所”だと意識づける。
布団の中で、だらだら過ごしていると、布団=“眠る場所”ではなく、布団=“眠れない場所”だと脳が思い込んでしまいます。大切なのは、布団の中は、読書やスマートフォンを見る場所ではなく、“眠る場所”だとしっかり脳に認識させることです。眠れないときは、布団の中で他のことをするのではなく、一旦布団から出て、少し照明を落とした別室でリラックスして、眠気がきてから布団に戻りましょう。

●Let’sTry睡眠時間を短くしてみる。
「長時間寝たのに眠った気がしない」「布団に入ってもいつまでも眠れない」という方は、一度思い切って睡眠時間を削ってみるという方法があります。「眠くなるまで布団に入らない」と決めて、睡眠時間をいつもより1時間短くしたら、ぐっすり眠れるようになったという方もいらっしゃいます。

 

理想の睡眠時間は、年代ごとに違う?

●45歳で6時間30分、65歳で6時間。
必要な睡眠時間は年齢とともに変わってきます。実は、8時間睡眠がベストなのは、10代前半まで。歳を重ねるとともに、必要な睡眠時間は短くなっていくのが一般的です。45歳になると6時間30分、65歳では6時間が目安だといわれています。これは実際に眠っている時間なので、入眠までの時間などを加味して、寝床で過ごすのは「+30分」するとよいでしょう。(「健康づくりのための睡眠指針 2014」厚生労働省より)

●Let’sTry 過度に睡眠時間を気にしない。
実際に必要な睡眠時間は、私たちが思っているより短いのが現実です。「〇時までに寝なければ」「○時間は眠らなければ」と"違った思い込み"でご自身にプレッシャーをかけていませんか?日中、眠過ぎて困ることがなければ、十分な睡眠がとれている証拠。何時間寝なければと、過度に睡眠時間を気にする必要はありません。

●Let’sTryご自身にあった睡眠時間を見つけましょう。
必要な睡眠時間は先ほどお伝えしたとおり、ご高齢でもぐっすり9時間眠れるという方がいらっしゃるように、適切な睡眠時間は人それぞれ。ご自身の傾向を知るために、その日の睡眠時間と翌日の体調を日記やカレンダーに書き込んでみましょう。続けるうちに、ぴったりの睡眠時間がわかってくるはずです。根拠なく睡眠不足だと思い込んで、むやみにプレッシャーを感じることもなくなります。


【コラム】
睡眠中にやってくる”お肌のゴールデンタイム”の真実とは?
よくテレビや雑誌などで、「夜10時から深夜2時までの睡眠が、お肌のゴールデンタイム」といわれていますが、実はこれは少し不正確な表現です。そもそも美肌づくりには、「深睡眠」と呼ばれる睡眠の中で最も深い眠りが関わっています。この「深睡眠」が、お肌や体の修復に大切な成長ホルモンを分泌してくれるのです。そして、「深睡眠」の大半が現れるのが、就寝から3時間くらいまでの時間帯。これが、一般的な就寝時間である夜の10時や11時を基準に計算されて、「夜10時から深夜2時までが、お肌のゴールテンタイム」といわれているのです。当然、就寝時間が変われば、お肌のゴールデンタイムも変わっていきます。大切なのは、就寝時間ではなく、「深睡眠」をしっかりとること。毎日ぐっすり眠ることを心がけて、輝く美肌を目指しましょう。

 

教えてくれた人

三橋美穂(みはしみほ)

快眠セラピスト。寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、テレビや雑誌等でも活躍中。