とろとろにカリカリを合わせて。
日本のおかゆの相棒といえば、梅干し、昆布、佃煮あたりでしょうか。
ところが、アジアのおかゆで多数決を取ったら、ひょっとしたら「揚げパン」が優勝するかもしれません。
「えっ、炭水化物×炭水化物!?」と衝撃ですよね。
でも、アジア圏では粥×パンというこの組み合わせ、かなりスタンダードだったりします。
中国語圏で「油条(ゆじょう、ヨウティアオ等)」と呼ばれる、細長い揚げパン。タイでは「パートンコー」、ベトナムでは「クワイ」と呼ばれています。パンのようにふわふわ&もちもちで、揚げドーナツのようにサクサク&じゅんわり。おかゆ以外にも、鹹豆漿などの豆乳料理のお供としても愛されています。生地にスポンジのような穴がたくさん開いているので、料理との絡みがよく、ディップして食べるのにぴったりなのです。
ところで、なぜ中国圏の人はおかゆにパンを合わせようと思ったのでしょうか?
どうして日本にはない「おかゆにパンをディップして食べる」という発想が生まれたのでしょうか?
日本とは違うこの感覚を掴むヒントに「言葉」がありそうです。
実は、中国語では粥に対して「食べる(吃)」ではなく「飲む(喝)」という動詞を使います。
おかゆは食べるものではなくて、おかゆは飲むもの。つまり、おかゆを「スープ」のように捉えるようなのです。
日本でも、スープであれば小麦系のものを合わせたりしますよね。
スープにパイ、スープにクルトン、スープにパン……ね、違和感がない!
スープのように、おかゆにもカリカリを合わせて。桜えびや、揚げネギ、ナッツ。
先の「揚げパン」風に、焼き油揚げや、揚げ麩を乗せるのもおすすめです。
「おかゆはお米のスープでもある」と捉えると、途端に広がるアレンジの幅!おかゆはとっても自由な料理です。
▼プロフィール
お粥研究家 鈴木かゆ
1993年生まれ、お粥研究家。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動。JAPAN MENSA会員。