今日のわたしは、何が食べたい?
二日酔いの朝のお味噌汁とか、運動のあとの酸っぱいものとか、「あ〜これこれ、こういうのを求めてたの〜……」と、沁みるおいしさってありますよね。身体が喜んでいるのがわかる、バチッとハマる、あの心地。
わたしはバチッとハマるあのおいしさを求めて、365日、毎朝おかゆを食べています。
おもしろいことに、手間をかけたら確実にバチッとハマるおいしさに出会えるわけではなくて、レトルト粥に何かをちょい足ししただけなのに、バチッと「おいし〜〜〜!」とくることもあったりします。
栄養学や薬膳などの知識から食材を選ぶともありますが、理論的な完璧さがあのおいしさをつくるわけでもなさそうです。
先の二日酔いの朝のお味噌汁の場面を考えると、「味噌に含まれるコリンにはアルコールが脂肪となって蓄積するのを防ぐ役割がある。ミネラルとアミノ酸も補給できる。
よし、完璧だ。味噌汁を飲もう!」と、味噌汁に至るわけではなくて、「あ〜……味噌汁、飲みた〜い」……くらいの感覚がはじまりですものね。
強烈なあのおいしさに出会った場面を振り返ってみると、いつも自分の感覚に従ってたことに気付きます。
科学的な栄養知識よりも劣っているような気がして、サラッと流してしまっていたけれど、フィーリングこそ大事な鍵のようなのです。
「春苦味 夏は酢の物 秋辛味 冬は油と合点して食え」。
明治時代の医師石塚左玄さんという方の、積極的に摂るべき季節ごとの「味」を伝える言葉です。
春の山菜、夏のトマトや酢の物、秋の大根おろし、冬のこってり脂モノ。う〜ん、おいしいですよね!
でも、「ああ、今は夏だから酸味をとるべきなんだな!お酢、お酢!」と、考える食事の選び方のほかに、感じてみる選び方も試してみてはいかがでしょうか。
もし「真夏だけど、ほんとうは冬に食べるべきナッツやミルクみたいな、こってり系に惹かれる……」と思うなら、ぜひその感覚を優先してみてください。
実は身体の内側が冷房で冷えて、冬のような身体になっているのかもしれません。
知恵はルールブックではなくて、自分を知るためのトリセツ。
今日のあなたは、どんな味に惹かれますか?
▼プロフィール
お粥研究家 鈴木かゆ
1993年生まれ、お粥研究家。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動。JAPAN MENSA会員。